「狩猟型の考え方」アクイジション(Acquisition)系
狩猟型の考え方は、自分の専門領域を決めずに幅広い市場を観察し、参入しやすい市場を見つけて商品を立ち上げる方法です。競合分析ツールや市場調査を通じて、売れる可能性のある市場を探求します。このアプローチは、新しい商品を見つけるために一時的に広範な市場を探索することに特化しています。
「農耕型の考え方」リテンション(Retention)系
一方、農耕型の考え方は、自分の専門領域を決めてそこに特化し、深く掘り下げる方法です。自分が得意とする領域やターゲット顧客を絞り込み、その領域内での商品開発やマーケティングに注力します。お客さんのニーズや課題を分析し、解決策を提供する専門家としての地位を築くことが目標です。
「狩猟型の考え方」から「農耕型の考え方」へ
一般的に、商品開拓は狩猟型で始まり、一定の成熟度を迎えると農耕型に切り替わるパターンが多いです。
狩猟型ではフットワークが軽く、幅広い市場を観察できますが、掘り下げることは難しいです。
一方、農耕型では市場を絞り込んで深く掘り下げることができ、専門家としての地位を築けます。
しかし、農耕型で安住している場合でも、競合によって定住地を追い出され、再び狩猟型に戻ることもあります。
これは商品開拓の過程で起こりうるサイクルです。
狩猟型の場合、ECでの起業が一般的です。競合分析ツールを使用して、市場の動向や競合商品の売れ行きを分析し
参入しやすい市場を見つけます。中国仕入れなどもこのアプローチに含まれます。
狩猟型が定住して農耕型に切り替わると、自分の専門領域を掘り下げ、お客さんの課題やニーズを深く分析します。
専門家としての知識や情報を提供し、お客さんに価値を提供することで成功することができます。
人類の歴史でも、最初に狩猟型の生活が始まり、その後、農耕社会への移行が起きるという出来事がありました。
このような過程は日本の歴史でも「狩りから稲作へ」として教科書に掲載されています。
稲作の普及によって弥生時代が訪れ、定住生活が始まり文明が形成されたとされています。
「狩猟型の考え方」と「農耕型の考え方」のアプローチについて
狩猟型の場合、多くの人がEC(電子商取引)を起業する際にスタートすることが多いです。
最近では、楽天やAmazonなどで売れ行きを分析するツールが存在します。
たとえば、楽天では「Nint」や「markbench」といった競合分析ツールが使われていますし、
Amazonでも「セラースプライト」などの別のツールが利用されています。
GoogleやChatGPTでも「競合分析ツール」と検索すればより多くの情報が出てくるでしょう。
これらのツールを使って「どの市場が参入しやすいのか」といった
情報を観察しながら、進んでいくというのが狩猟型の方法です。
上記を長く続けていくと、自分の得意分野や活動領域が徐々に形成されてきます。
これが農耕型への移行の兆候です。
定住すると巡回することが少なくなり、可能性は狭まるかと思われますが、
広げるのではなく、自分の専門領域を深堀りしていく行動が始まるのです。
農耕社会ならではの「畑を耕す」「農耕する」というような動きが現れます。
具体的な動きとしては、自社のレビューや競合他社のレビューを読み、
顧客が何を目的としているのか、何に喜びを感じているのか、
何に失望しているのか、何に不満を抱いているのかといったことを分析し
顧客の行動パターンや悩みを理解しようとします。
例えば、寝具を扱っている場合、睡眠不足や「どうすれば良い睡眠がとれるか?」など、
快適な寝室の要素について研究することになるでしょう。
ダイエット商品の場合も明確な問題意識があります。
- ダイエットを継続するためにはどうしたら良いのか?
- 食べ過ぎの原因は何なのか?
こうした課題について顧客の心理や感情を研究していくのです。
その過程で、「どのような商品が売れるか」という目的から少し離れて、
より深いレベルに進んでいくことがあります。
専門家としての経験が深まると、お客さんのために新たな商品を開拓していくことができます。
例えば、糖質が入っていないタンパク質豊富な主食を売っている場合、
お客さんには「こういうダイエットおやつもあると嬉しいな」というニーズが生まれるかもしれません。
ニーズに応えるために、専門家は自分が研究している顧客層や課題に合わせた商品を開発していきます。
こうしたアプローチを追求すると、競合分析ツールを使う必要性も感じるかもしれませんが、
自身の感覚や経験に基づいて展開する割合が増えていくでしょう。
両方の要素は重要ですが、バランスを取りながら進めていくことが重要です。
まとめ
以上が商品開拓の考え方のうち、『狩猟型の段階』と『農耕型の段階』の2つのステージについてのご紹介でした。
どちらも正しい選択ですが、最初は狩猟型のアプローチで起業し、自身の存在を自覚した後に農耕型に移行していくのが一般的と言えるでしょう。ただし、農耕型ではある程度の限界に達し、新たな市場を開拓したい、競争から逃れたい、市場が老朽化しているなどの場合は、再び狩猟型の動きを取ることがあります。
これまでの経験を踏まえつつ、新たな市場の理解やお客さんとの関わりを大切にし、
謙虚な姿勢で取り組んでいくことが重要です。